【論文紹介】食物アレルギー患者の加工食品・飲食店での誤食

昨日は、新型コロナワクチン集団接種で立ったりしゃがんだりを繰り返していたためか、両足が久しぶりの心地よい筋肉痛でした。こうした筋肉痛になることがほとんどないからどんどん太っていくんだろうな🐖

さて、今日は論文の内容を紹介します。

タイトル食物アレルギー患者における容器包装された加工食品ならびに飲食店での誤    食に関する調査

著者:徳永 郁香, 佐藤 さくら, 柳田 紀之, 高橋 亨平, 杉崎 千鶴子, 海老澤 元宏

雑誌:アレルギー. 2021.03;70(2):118-126.

まずは、ポイントから

24%が容器包装された加工食品で、12%が飲食店での誤食を1年以内に経験

原因の約70%がアレルギー表示の見落としや確認不足

加工食品にアレルギー表示義務があることの認知度は85%, 外食・店頭販売に表示義務がないことへの認知度は39%であった・

 

以下、論文の内容を簡潔にまとめたもの

【方法は?】アンケート調査

【どんな人に調査したの?】2016年1/12~2/29に相模原病院小児科に食物負荷試験を目的に入院した児の保護者252名 

【結果1:患者さんの背景は?】年齢中央値3.5歳、原因食物は鶏卵・牛乳・小麦が大部分であった。アナフィラキシーの既往のある患者さんは90名 (40%)であった。

【結果2: 誤食の頻度】

過去1年間で容器包装された加工食品あるいは飲食店のいずれかで誤食を経験したことのある患者さんは71名 (31%) であった。

加工食品の誤食を経験した患者さんは55名 (24%)でそのうちアレルギー症状をみとめたのは、42名 (76%)であった、この42名のうち、17名 (40%)が複数回経験していた。

飲食店での誤食を経験した患者さんは28名 (12%)でそのうちアレルギー症状をみとめたのは、24名 (86%)であった、この24名のうち、12名 (50%)が複数回経験していた。

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誤食の経験人数と回数:文献より

 【結果3:誤食原因】

・容器包装された加工食品の誤食を経験した55名の誤食原因 

表示の見落としが39名 (71%)と最多で、保護者によるものが87%, 同伴者が23%, 本人が13%であった (複数回答あり)その他「表示内容の間違った理解」11名 (20%), 「保護者が目を離した隙に摂取」など

・飲食店における誤食を経験した28名の誤食原因

確認不足が20名 (71%)と最多で、保護者によるものが90%, 同伴者が15%, 本人が5%であった (複数回答あり)提供側の要因 (店側の情報提供ミス, 調理過程での混入)による誤食を経験したのは15名 (54%)であった。

【結果4:アレルギー表示制度の認知度】

加工食品にアレルギー表示義務があることを知っていたのは193名(85%) ,表示義務のある食品が7品目であることを知っていたのは136名 (60%)であった。

外食・店頭販売に表示義務がないことを知っていたのは89名(39%)であった。

しかし、このことを「知っている」「知らない」で誤食率に差はなかった。

 

私の感想

アレルギー表示義務について知らない人が意外と多いと思った。外来では資料を渡すことを心がけたい。しかし、表示義務を知っているだけでは、誤食を防ぐには十分でなく、表示確認の必要性についても説明していく必要がある。