先日の保育園健診で伝染性軟属腫 (水いぼ)への対応も話題になりました。この機会に解説させていただこうと思います。
まずは結論から。当園は可能。プールについては○、ただし、ビート板やタオルの共有は✗
良かったら下の解説with私のコメントも御覧ください。
【伝染性軟属腫とは】
・ポックスウイルス感染症により起こる、小児の皮膚感染症です。発症から6か月から1年の間に大部分が自然治癒します。
・最終的には、自然治癒する一方で、途中経過で拡大傾向や他児への伝染の可能性があ
ります。
【治療方法は?】
当院での治療の選択肢は、1)経過観察, 2) 取り除く, 3) ヨクイニンの内服になります。
小児科医は経過観察をする場合が多いと思います。ただし、アトピー性皮膚炎のある場合は悪化の注意しないといけません。掻くことで、水いぼが広がっていく可能性があります。保湿薬とステロイド軟膏でアトピー性皮膚炎の管理をしっかりするよう保護者の方にお話しております。
ピンセットを使用しての摘出は、患児にとって苦痛を伴い、またへこんだ跡が残る可能性があります。このことより、皮膚科医でも、最近は経過観察を選択する先生が増えています。
ヨクイニンの内服についてはいくつか報告がありますが、効果は明らかではありません。私自身、以前は、「こんなの効かないよ~」と言っていたのですが、5年ほど前に処方を強く希望した患者様がいて、処方したら劇的に効いたということがありました。それで、ヨクイニンに興味を持ち調べてみました。
以下、ヨクイニンの効果に関する報告です。
1) 24名中20名が発病から6か月未満であった。21例が治療開始から4か月以内に治癒した。(児玉義史, 日本小児科医会会報 2016)
2) ヨクイニンを服用したグループを服用したグループで効果を比較。全体では差がなかったが、アトピー性皮膚炎を有する児に限定するとプラセボ群と比較し、有意に効果があった。 (ヨクイニンエキス散研究班, 皮膚1987)
確かに、原因は分かりませんが、アトピー性皮膚炎の男児に特に効果があるな~と外来でも感じております。
【園での生活について】
・登園登校は可能です。
・夏季のプールは現状では、園により対応が異なっております。
プールの水を介して感する可能性は低いと考えられており、日本皮膚科学会は、ビート版, 浮き輪やタオルの共有を避ける必要はあるが、プールを禁止する必要はないとコメントしております。
プール後は、シャワーで体をあらに流しておきましょう。
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/news/G20160519_20130524_01.pdf