オムツ交換台からの墜落に注意

日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。2021年4月号の学会誌からの報告を共有したいと思います。

以下、学会誌の内容を簡潔にまとめました。

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会. Injury Alert (傷害速報) No.103 オムツ交換台からの墜落による前額部打撲 日児誌2021: 125:691-693

<事故の概要>

症例は生後6か月の女児。兄が排便している隣で、折りたたみ式タイプのおむつ交換台(高さ90cm)を展開し、その上で、オムツ交換をした。安全ベルトを使用方法の表示通りに児の腹部に装着し、兄の世話をするために目を話した直後に、児が寝返りし、転落した。安全ベルトのプラスチックバックルはロックされていたが、ベルトは伸びてしまい、児はそのまますり抜けてしまっていた。なお、交換台もベルトも劣化や破損はなかった。幸い、骨折や頭蓋内出血などはなく、経過は良好であった。

 

・2010年12月~2020年3月までの期間に、0~3歳までのおむつ交換台からの墜落は58例あり、1歳以下が49例 (84%), 東部の受傷が41例 (71%), 入院が9例 (17%)

0~3歳児の保護者1,000人を対象としたアンケートでは、38%の保護者が、オムツ交換台からどもが「落ちた」「落ちそうになった」と回答しており、そのうち78%が折りたたみ式タイプであった。また、墜落時に保護者の86%が子どもから離れたり、目を話したりしており、そのうち58%は、その時間は1~3秒程度と回答していた。一方で、保護者の 74%が,備えつきのベルトがあったにもかかわらず締めていなかったと回答し
ている。

おむつ交換台からの子どもの転落に注意!−頭部損傷リスクが高く、入院する事例が寄せられています−(発表情報)_国民生活センター

 

折りたたみ式おむつ交換台に付属しているベルトは,あくまで「横ずれ防止のためのものであり,お子様の転落を防止するものではありません」と警告表示されている。ベルトに伸縮性があるため,バックル部分を安全にロックしていても,乳幼児の寝返りやずり這いなどを制限できるものではない。

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予防策として、

1) おむつ交換台の近くにゴミ箱や荷物置き場を設置して利用者が一連の作業を完結
  できるようにするなどの環境整備
2)安全対策として、おむつ交換台の製品の安全性を高めるため,台を真平らではなく落ちないように傾斜をつける,シート全面を柔らかいクッションで囲む,墜落防止の柵やガードを設置する,3 点ロックのかかるベルトを使用する,台の高さを低くするなどが検討され新製品の改良も進んでいる。   (以上、学会誌より) 

 

当院では、きょうだいでの受診例で、1人を診察している間に、もう1人が・・・というのが一番注意しないといけないパターンです。少しでも転落の危険がある場合は、赤ちゃんを他のスタッフに抱っこしていただいております。どのスタッフも転落には細心の注意を払っているとは思いますが、この事例を共有し、数秒目を話すだけでもリスクのあることを再認識していただこうと思います。

 

また、お子様から目を離さないといけない状況になったときは、スタッフに気軽に抱っこをご依頼くださいね。