T君は、当院の発達支援外来に通院中の男性。少しおっちょこちょいで、約束を忘れたりすることもありますが、元気に過ごしています。高校を卒業し、この春に無事に大学に進学しました。新しい生活が楽しみな一方で、T君とお母様は、無事に大学を卒業できるのは不安でいっぱいです。高校は宿題の未提出を見逃してもらえましたが、大学はそうはいかないかもしれません。大学に事前に相談や申告することを考えているものの、その後の大学院の進学や就職に影響がでないか心配です。
そこで、現役の大学教員の先生方3人に突撃し、意見を伺ってきました。
結論は、どの先生も「事前に相談するのがのぞましい」でした。
また、大学の現状、大学に発達特性を伝えなかった場合、大学院、就職
について3人の先生方の意見をまとめ、紹介します。
【大学の現状】
・発達の面で入学の際にご相談(申告)があるケースが多い
・そのような学生はどの大学にもクラスに数名は居て、最近は物凄く理解が進んでいて、目に見えぬ障害についても援助するのが義務のようになっています。
・授業の欠席が多い、レポート未提出が多い、といった学生を放置することなく学校に出てきなさい、レポート提出しなさいと何度も何度も学生に連絡をします。
場合によっては保護者とも連絡をとり、面談をします。ですので、学生の発達などの情報についてあらかじめ授業担当教員が把握しておくことができれば
やみくもに学生に「提出しろ」、「単位取れないぞ」と圧がかかることはなくなると思います。ただし、提出しなくても単位が取得できる、というわけにもいかないので
どのようにすれば提出することができるか、を学生と大学側で考えることになると思います。
【大学に特性を伝えなかった場合】
・課題は、提出してもらえないと、ゲタを履かせることもできないので、教員としても悩ましいです。
・障害を持っていることを伝えなくても、教員にはわかってしまうと思います。
ですので、伝えなくとも、いずれ周囲が気づいて、サポートを受けることにもなると
思います。
・学生相談室で相談して、大きなミスがでないような工夫の方法を教えてもらってはいかがでしょう?学生相談室は、守秘義務がありますので、教員に伝わることはありません。
【大学院について】
・大学は、自分で課題管理ができないと、留年や最悪退学になってしまい、大学院どころではなくなってしまいます。
・大学院は、同じ大学からでしたら、教員は大学での様子を知ることはあるかもしれません。他の大学院に伝わることはないと思います。
【就職について】
就職については、大学から個人の情報を伝えることはありません。
本人が、企業に伝えて、サポートを得られる状態で仕事をしたいと思うかどうか、だと思います。
これからは、自ら工夫したり、周囲に援助を求めたりするスキルも重要ですね。
おそらく人生で1度の大学生活、勉強,サークル,恋愛, バイトと青春を謳歌できると良いですね。
(記事にするにあたり本人と現役の大学教員3名の先生より同意をいただいております)