1歳半健診で発語のない場合は、以下の状態を念頭に置きながら経過をフォローしていきます。
今回は、表出性言語発達遅滞についてお話ししていきます。表出性言語発達遅滞とは、
具体的には,運動発達の遅れがなく,周囲の言っていることがわかり指示に従って動け,状況を把握し年齢相応の振舞ができるが,発語がない,もしくは著しく乏しい状態
を言います。
多くは改善を示し青年後期までにほぼ正常な言語能力を獲得します. 就学前に言語発達遅滞を認めた子どもを対象に行われたアンケートによれば、11例中10例 (90.9%) が就学後の言語発達に問題を認めませんでした。
(武田 篤:幼児期に特異的言語発達遅滞と診断された子どもの予後一就学後のアンケート調査一.聴覚言語障害32:49-56,2003
その一方で、年齢とともに発達障害が顕在化する場合もあります。3歳児健診で言葉の問題が指摘された児の経過を6年間追った研究によると、幼児期の診断が表出性言語発達遅滞であった14名の学童期の診断は、2名が自閉スペクトラム症, 3名が軽度精神発達遅滞, 5名が学習障害, 4名が定型発達児でした。
(小枝達也:発達障害のなかにおける特異的言語発達障害の位置づけ一医学の立場から.音声言語医学44:204-208 ,2003)
また、発達障害がなくても、場面性緘黙 (家では話せるが、園や学校などでは話せない)となる可能性があります。
できる事としては、
1.児童館や園など子どもが多く、言語的やり取りの多い環境に行く
(ただし、対人関係の良好な子に限る)
2.養育者がはっきりした声で,簡潔な,そしてできれば子どもの注意をひくようなリズ ムをつけた言葉かけを日常的にたくさん行う。
(例,きいろは、きーろ、と伸ばして読む)
3.日常生活の行動や子どもが身振り手振りで表現していることを言語化する
4.絵本の読み聞かせを行い様々な言葉に触れる
いないないばあ、など先読みできる本がオススメ・保護者が「いないない」というと、
お子様より「ばあ」という言葉が引き出せることも。
ご家庭では楽しく取り組むことを忘れないようにすることも大事です。