放課後デイ相次ぐ行政処分について

まずは3/12の朝日新聞の記事を要約します。放課後等デイサービス(以下放デイ)とは、障がいのある子ども達を放課後や休日に預かるサービスで、障がいのある子の社会的な自立を支援する「療育」目的に、児童福祉法の改正で2012年度に制度化された。

厚労省によると19年度には全国に約14,000か所あり、約22万7000人が利用している、これは、制度創設時と比較すると、事業所数は約5倍、利用者数は約4倍の数字である。背景には仕事などのために子どもを預けたい家庭のニーズもある。

その一方で、放デイの行政処分件数は16年度の9件から19年度の43件と増加した。これは、障害福祉全体の3割を占める。背景として事業所数の急増が影響している可能性がある。放デイは、企業の利益率にあたる「収支差率」が10.7%と、全サービス平均の5.7%を大きく上回り (19年度の障害福祉施設の経営実態調査より)ネット広告で高い利益率をうたい参入を促すコンサルティング会社も目立つ。処分の理由としては、必要な人員を配置せず、加算を請求するなどの、給付費の不正受給が目立つ。背景に営利法人(企業)が多く参入したことがあると指摘されている。

対応策として、厚労省は今年4月の障害福祉サービスの報酬改定で、基本報酬を最大1割減らす一方で、ケアの必要性の高い児童への支援に加算することにした。また、収益ばかりを追う事業所を排除し、サービスの質を保つ狙いで、放デイで働ける人を保育士と児童指導員に限るなど開設のハードルを上げた。しかし、これまで基準を上回る人員を配置してきた事業所にとっては、活動内容を維持できないという懸念の声があがる

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これは、なかなか難しい問題である。療育というよりも、仕事や休息のために、放ディに預けている人も多いであろう。事業者が減り、行き場がなくなると、保護者は、仕事に行けなかったり、ずっと子どもと一緒で煮詰まってしまう可能性もある(極端な話、虐待のリスクも)。まずは一定数の事業所の数を各自治体で確保してほしい。

そのうえで、人員配置をしっかりしている事業所や個別療育も定期的に行っている事業に対してはしっかり評価してほしい。

放デイで働ける人を保育士と児童指導員に限る、と記事にあったが、これらの資格を持っている=質の高い療育ができるとは限らない。本当の療育を考えるのであれば、心理士, 特別支援士, 作業療法士, 言語聴覚士なども重要である。また、一般の方でも、障がいを持つ方の保護者で、高い療育能力を有する方もいる。職種だけて判断するのは?である。新たな国家資格として、「児童発達支援士」を作り、筆記試験, 実技試験の合格を要し、資格の更新には、実際に対応した児のレポートを提出する、というのはどうだろうか。まずは、4月以降も必要とするご家庭がこれまで通り放デイを利用できることを願う。