高次脳機能障害について:自閉スペクトラム症児と同様の対応が効果的

先週末は、Webで「ゲーム障害」の他に、「子どもの高次脳機能障害の基礎理解」

を受講しました。

高次脳機能障害とは、外傷性脳損傷 (交通事故など)や脳血管障害 (脳梗塞, 脳出血など)により、後遺症として、記憶障害, 注意障害, 遂行機能障害, 社会的行動障害などを認める状態を指します。

高次脳機能障害の症状】

記憶障害前向性健忘 (新しい情報やエピソードを覚えることができない), 逆行性健忘 (受傷,発症以前の記憶の喪失)。具体的には、作業中に自分が何をしていたかを忘れる, 何度も同じ間違いを繰り返す, 覚えられないために自身がなく誰かがそばにいないと不安など

注意障害全般的注意障害 (ある刺激に焦点を当てることが困難), 半側空間無視 (脳障害の反対側の空間において刺激を見落とす)。具体的には、いつも注意散漫, 話についていけない, ぼーっとしている,課題を終わらせるのに時間がかかる、など

絵を描かせると以下のような絵になる場合も

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遂行機能障害:目的に適した行動計画の障害 (ゴールを設定する前に行動を開始してしまう), 目的に合った行動の実行障害。具体的には、2つ以上の作業を同時並行でこなせない, 1つの物事にこだわり次の作業に移れない, 予想外のことが起こると混乱し、そこで行動が止まる, 必要に応じて間違いを修正し、計画を変更することができない、など

社会的な行動障害:意欲・発動性の低下 (はじめられない, 何事にも意欲が持てない, 他人に興味がない低下)、情動コントロールの障害 (突然怒る, キレる)、対人関係の障害、依存的な行動、固執 (自分のやりたいことをやめられない, 人の言動がきになると執拗にせめたりする)、脱抑制の症状 (してはいけない行動とわかっていても抑えることができない, ちょっとしたことに腹を立ててそれを忘れることができない)

高次脳機能障害の特徴】

外見上は症状の目立たない(見えない)障害。本人自身も障害を十分に認識できていないことがある(そのため対応が難しい場合もある)。障害はに出現しやすく診察場面よりも、自宅や学校での生活場面に出現しやすく、医療スタッフに見落とされやすい

【子どもにおける特徴】

大人と違い脳の可塑性があるので改善する可能性がある、発達に伴い症状が変化する,

幼児化しやすい, 就学までは目立たないことがある

【効果的な対応】

実は、自閉スペクトラム症児への対応が有効です

・具体的な指導

・スモール・ステップでの指導(目標を複数の段階に分ける)

・見通しをつける(タイムタイマーなど)

・構造化(必勝パターンを作る)

 

当院でも1人該当する方がおり、その方のために役にたてればという思いで聴講しましたが、私でも力になれる部分がたくさんありそうです。病院も半年に1回程度で、リハビリも指導もあまりされていない状態でしたが、今は別に病院に移り、身体的なリハビリは頑張っています。私の外来と連携して対応して、少しでもお子様・ご家族の日常生活を支援していければと思います。