新聞記事より:新型コロナ 妊娠後期の感染 重症化の傾向

遅くなりましたが、10/25の朝日新聞の記事を要約して紹介します。

【妊婦さんと妊娠していない女性の比較】

1.米疾病センター (CDC) からの報告

約9万人の女性を対象とした報告。妊婦はそうでない女性と比較して、入院のリスク

5.4倍, 手中治療室に入るリスク1.5倍, 人工呼吸器を使うリスクが1.7倍高かった

(ただし、妊娠していないとされた女性が妊娠している可能性, 妊婦の症状データの

多くが欠落しているなど限界がある)

2.英国の研究者らが信頼できると評価した77本の報告を分析した検討

妊婦とそうでない人に分けて比較。(a) ICU入室例は、妊婦1.5%に対し、そうでない人は

0.9%、(b) 人工呼吸器使用例は、妊婦0.5%に対し、そうでない人は0.3% 、妊婦の方が重症化リスクが高かった

(ただし、論文により症状の定義が違うまま比較されているという限界がある)

【妊娠時期による重症度の比較】

日本産婦人科医会による調査。1~6月に出産した約30万6000人の妊婦のうち、72人が新型コロナに感染し、発熱などの症状が出たのは58人だった。この58人を、妊娠初期・中期例 (以下、前半群)と後期産後すぐ例 (以下、後半群)で比較した。CTで肺炎像をみとめたのは、前半群10.3%に対して、後半群は52.6%であった。呼吸困難で酸素投与を要した割合は、前半群7.7%に対して、後半群35.8%であった。妊娠後期になるほど重症化する可能性が示唆された。

 

日本産婦人科感染症学会副理事の日本大学の早川智教授によると、いずれの報告も限界点があり、結果は完全ではなく、リスクは否定できないが、まだ明確に重症化しやすいと示している報告はない。もともと妊娠後期は、子宮が大きくなると横隔膜が上がって呼吸しづらくなり、咳や息苦しさが悪化しやすいという特徴がある (喘息やインフルエンザの重症化リスクがありますね)症状の悪化は新型コロナウイルスによるものではなく、妊娠後期の妊婦の特徴を見ている可能性がある、早川教授は、「国内では感染しても適切に対応できる態勢がある。過度に恐れず、基本の感染予防策を続けてほしい」と話している。 (以上新聞記事より)

 

当院ではもともと妊婦さんには配慮して対応しておりますが、妊娠後期の方への配慮について改めてスタッフ間で検討したいと思います。