小柴昌俊さん

素粒子ニュートリノ観測で2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊 さんが11月12日夜に老衰で死去しました。94歳でした

 

小柴さんは、若いころには幾度も逆風を浴びている。旧制中学時代に小児麻痺にかかり、軍人や音楽家への夢は絶たれた。その後、担任から渡されたアインシュタインの本をきっかけに物理学の道を志すが、受験は失敗続き。東大の物理学科に入学後は、家庭教師や米軍の仕事をしながら家計を支えた。卒業時の成績はビリだったという。

面白いエピソードも紹介されている。中学で教鞭を取っていた時に、「この世に摩擦がなくなったらどういうものか記せ」という試験問題を出している。答えはなんと「白紙答案」。摩擦がなければ紙はすべって紙に字が書けないからである・・・。

また、2002年のノーベル賞受賞後は、こども向けの講演も多くこなしており「教科書を疑い、究明の卵をいつも心に持って」「達成したいと思う卵をどう孵化させるか考えて」と話していたという。(以上14日の朝日新聞の記事と天声人語より)

 

小柴さんが小学生に講演した内容は同感です。医学の世界でも、今は胃癌はヘリコバクター・ピロリという細菌が原因であることは当たり前ですが、数十年前にその考えを提唱した先生は、「なに馬鹿なことを言っているんだ」と周囲からは叩かれたようです。

身近なところでは、食物アレルギーも、今では「症状の出ない範囲で食べさせながら治す」が当たり前ですが、私が医師になった2003年は、血液検査で数値の高い症例は除去が主流でした。私は、すでにおじさんですが、小柴さんのような目で常に新鮮な気持ちで日々の診療にあたっていきたいと思っております。