日本と海外のインフルエンザ接種の違い vol.1

今年は、新型コロナとインフルエンザの同時流行への懸念からか、例年にない勢いで

インフルエンザ接種の予約が埋まっております。先日は、HPに枠を解放したことを公開した1時間後にはすべて埋まってしまいました。これは例年ではなかった現象です。

 

以下、10/28 (水)の朝日新聞の記事を簡潔にまとめます。

厚労省は、全国的に当院のようになることを予測し、今シーズンのワクチンを過去最大規模としたとしているが、それでも不足することが心配されている。21の学会で構成される予防接種推進専門協議会は8月に、ワクチン不足が起きた場合、WHO (世界保健機構) や CDC (米疾病対策センター)を参考に、接種回数を減らし、より多くの子どもがワクチン接種を受けられるようにする対応を厚労省に求めた。

【日本とWHO, CDCの接種方法の違い】

日本では、13歳未満は2回接種, 13歳以上は1回接種を原則としている、それに対して、

 WHO(世界保健機構)CDC (米疾病対策センター)では、9歳以上は1回でよい、としている。さらに、CDCでは、前年にワクチンを接種した場合は、生後6か月~8歳でも1回でよいとしている。

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【なぜ日本は2回接種なのか?】

以前は、副反応により発熱を出す頻度が高かった。それに対する対応策として、1回に接種する量を少なく設定し、効果を保つために、年2回接種となった。2010年までは、小児のインフルワクチン接種量は、1歳未満0.1ml/回, 1~6歳未満:0.2ml/回, 6~13歳未満

0.3ml/回, 13歳以上0.5ml/回であった。

2011年より、WHOが推奨する用量に基づき、6か月~3歳未満0.25ml/回, 3歳以上0.5ml/回と変更されたが、いまだに接種方法の変更はされていない。

厚労省の説明】

接種回数の変更にはワクチンメーカーが臨床試験結果などの効果を示し、法に基づく

変更申請をする必要がある。一方で、医師の裁量権で接種回数を1回にするのは問題ない。実際に国立感染症研究所に2018年の調査によると、1回接種だった児も一定の割合で存在する。

以上、記事より。

 

これを踏まえての当院での方針

【当院の考え・方針】

前年度にワクチン接種をしておりかつ基礎疾患のない9歳以上の児 (WHOやCDCは前年度の接種の有無に関係なし) であれば、1回接種でも問題ないと考えられる。

9歳以上の方には、以下のように、国内と海外の違い, メリット, デメリットを説明し、文書による同意をいただいたうえで、患者さんに1回接種か2回接種かを選択していただく方針としました。

 

【背景】

 ・日本では13歳未満は2回接種を原則としている。

 ・しかし、海外では、WHO (世界保健機構) や CDC (米疾病対策センター)では、9歳以上は1回でよい、としている。

 ・さらに、CDCでは、前年にワクチンを接種した場合は、生後6か月~8歳でも1回で

よいとしている。

【日本が2回接種の理由】

 ・副反応による発熱を考慮し、1回に接種する量を少なく設定し、効果を保つ

ために、年2回接種となっていた。

・2011年より、WHOが推奨する用量に基づき、6か月~3歳未満0.25ml/回, 3歳以上0.5ml/回と変更されたが、いまだに接種方法の変更はされていない。

【1回接種によるメリット・デメリット】

・メリット

 経済的, 時間的な負担が軽減される。

・デメリット

 国内で1回接種と2回接種による有効性の差が検討されていない。