講演会より:神経発達症児への新しいアプローチ ~入眠困難の改善とその意義~

10/8(木)に視聴した講演会の内容を報告します。

講師は北海道大学の児童思春期精神医学の斎藤卓弥教授でした

 

講演会の内容は小児の睡眠障害自閉スペクトラム症 (以下ASD) やADHD (多動・注意欠如)など神経発達症児の入眠困難に対して、適応の通った「メラトベル」というお薬についてです。

 

ASD児やADHD児には睡眠障害を合併することが少なくありません。ASD児の乳児期は、夜泣きがひどく、また寝つきが悪く、抱っこしている間はよいけど、置くとセンサーがついているかのように起きて、激しく泣いて、気づいたら朝になっていたというのは、よくあるエピソードです。ADHD児は布団に入るけどなかなか寝付けないという子が少なくありません。

 

ヒトの睡眠には、メラトニンという体内時計のリズムを整えるホルモンの働きが重要で、睡眠時には血液中のメラトニンの濃度が上昇します。

メラトニンには眠気を促す「入眠作用」と睡眠リズムを整える「位相作用」があります。

 

ASD児はメラトニンの血中メラトニンレベルが低いという報告があり、ADHD児ではメラトニンの分泌される時間が遅延しているという報告があります。

 

ASD患者にメラトニンを投与したところ、入眠潜時(覚醒状態から眠りに入るまでの所要時間)が改善したという報告があります。睡眠だけでなく行動上の問題も改善したという報告もありました。

ADHDも同様に、メラトニンの投与により、入眠潜時だけでなく、行動上の問題も改善したという報告があります。

 

これまで、自閉スペクトラム症の患者さんの中には、アメリカより輸入して、使用している方もいらっしゃいました(アメリカでは処方箋なしでサプリメントとして入手できる)

 

しかし、日本でも最近、メラトベルというメラトニン受容体作動薬が保険収載されました。

国内第3相試験では、効果として、入眠潜時 (覚醒状態から入眠までの時間) に約30分の短縮が認められました。

たかだが30分の効果と思うかもしれませんが、もし朝30分早く起きられるとだいぶ生活が変わってくるのではないでしょうか?

朝ドタバタですと、忘れ物や遅刻のリスクがあがり、一日の初めから悪い流れとなり、家や学校で怒られ、学校がつまらなくなってしまうかもしれません。

逆に朝に余裕を持って行動できれば、1日を良いリズムで開始することができ、注意されることが減り、学校も楽しくなるかもしれません。

実際に、国内第3相試験では行動上の問題の改善も認められています。

 

この講演を聞いて、診療のなかで、現在の睡眠について話を詳しく伺う必要があると思いました。当院でもメラトベルは処方可能です。お子様に神経発達症があり睡眠に悩んでいる方は、気軽にご相談ください。