弁当用ピックは大きくなってから

日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。2020年8月号の学会誌からの報告を共有したいと思います。

以下、学会誌の内容を簡潔にまとめました。

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会. Injury Alert (傷害速報) No.92 弁当用ピック誤飲による下咽頭遺物 日児誌2020: 124:1328-1329

 

症例は1歳7か月男児。児が、キャラクター弁当装飾用のピックのささったハンバーグを摂取した直後に苦しみだした。すぐに母が背部叩打したところ、ハンバーグ片が出てきて、点状の血液が付着していた。その後も不機嫌で、飲み込むときに苦しそうにしていたので救急搬送された。X線, CTで異常所見を認めなかったが。耳鼻科でのファーバーで異物を認めたため、全身麻酔て摘出された。

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弁当用ピックとは、食べ物をさして食べやすくする道具で、キャラ弁を手軽に可愛くつくることのできる備品として愛用されるようになった。楊枝状のものだけでなく、フォーク状や矢印状のものがあり、大きさは30~50mm程度と様々である。

3歳児の口腔サイズは、最大口径39mm, 口唇からのどの奥までの距離は約51mmとされており、誤飲する可能性は十分ある。

海外の爪楊枝による消化管損傷をまとめた報告 (年齢中央値52歳)によると、50%以上が誤嚥に気づいておらず、79%が穿孔を起こしていた。

予防案としては、

1.個別包装に「こどもが誤飲し障害を負う可能性がある」という警告文を強調する

2.弁当用ピックの形状や材質を検討する:弁当用ピックを大きくしたり、ピック自体を唾液で分解されるような材質にする

3.乳幼児が食べることを想定した弁当では弁当用ピックを使わないなどがあげられる。

 

皆様、気を付けましょう。