日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。2020年8月号の学会誌からの報告を共有したいと思います。
以下、学会誌の内容を簡潔にまとめました。
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会. Injury Alert (傷害速報) No.91 ランニングマシンに巻き込まれて受傷した前腕擦過傷 日児誌2020: 124:1326-1327
ランニングマシンに巻き込まれて受傷した2歳男児例です。7歳の姉がランニングマシンに乗っていたところ、本児がその後方に乗りました。姉がマシンの速度を上げたところ
後方に転倒し、マシンの後ろのローラーと床の間に左腕を巻き込まれて受傷しました。
同室にいた祖母がすぐに電源を切り、医療機関を受診しました。幸い、生理食塩水の洗浄とワセリン塗布で軽快しております。
(学会誌の図をそのまま引用)
米国では1996年~2000年の間に5歳以下の小児1,009例が家庭用の運動器具で傷害をおったという報告があります(日本国内では同様のデータはなし)
子どものランニングマシン関連外傷の発症機序は2パターンあります。1つは、使用者自身が速度を上げた際に、対応できずに転倒するパターン、もう1つは、使用者が歩行・走行中に、他の人が誤ってランニングベルトに触れて回転する走行ベルトに身体の一部が巻き込まれるパターンです。本事例は後者にあたります。受傷部位のほとんどは、手や前腕などの上肢であり、乳幼児に多いと報告されています。主な傷害の形態は、擦過傷(すり傷)ですが、なかには植皮治療を要し長期入院となる場合もあります。
新型コロナの影響で、自宅にランニングマシンを購入した方もいらっしゃるかもしれません。使用時に、周囲にこどもがいないか気をつけましょう。また、子ども達だけでの使用は厳禁です。