新聞記事より:特別支援学校 開校相次ぐ

朝日新聞の8/24の記事によると、特別支援学校が2018年度以降の3年間で全国に17件開校し、さらに今後全国で36校の新設計画があるという。

文部科学省によると、全国の小中高に通う児童生徒数は、1985年度の2226万人をピークに昨年度は1280万人にまで減少し、学校も約4万2千校から3万5000校に減った (20%減)。その一方で、支援学校 (知的障害, 肢体不自由, 聴覚障害などを有する児)に通う通う子供は2009年度に11万7千人だったのが、昨年度は14万4千人と急増し、学校が1030校→1146校と増加した。2013年に学校教育法が改正され、障害のある子とない子がともに学ぶ「インクルーシブ教育」を進め、通常校か支援学校かを決める際に保護者の意見が反映されるようになった。子供の特性に合わせた、より専門的な教育に期待する保護者が増え、特別支援学校を選択する方が増えたと推定されている。

新聞では、通常校の中にある、支援学級 (知的障害なしだが発達特性を有する児, 知的障害が軽度の児が中心)でもっと対応できる体制を作ることが重要と書かれていたが、

支援学級で学ぶ子どもも、この10年間で倍増している。

以上が新聞記事であるが、私の診療エリアや相模原市では驚くべき状況が起こっている。市の職員達がインクルーシブの意味を取り違えているのか、特別支援学校での専門的な教育の方が成長が期待できる、重度知的障害の子が、某市では支援級に在籍するケースが目立つ。保護者が何も言わないと、そのまま通常校の支援級に決まってしまうのである。また、意識のあまり高くない保護者の方は 、定型発達の児との交流があった方がよいと考えるのかもしれない。しかし、現状は、心の通った交流ではなく、形だけのインクルーシブになっていることが少なくない。重度の子にとって、支援級に行くことはその子のためには全くならない可能性がある。さらに、支援級の担任の先生は、支援教育の専門ではない先生も少なくない(希望して担当しているとは限らない)。重度の子が1人在籍していると、他児のケアが難しくなるだろう。

また、普通級に在籍しているものの、勉強についていけず、苦しんでいる子も少なくない。そのストレスで頭痛や腹痛が出現しSOSを出しているのだが周囲にどれぐらい気づいてもらえているのか?小学校3~4年で1桁の足し算を指を使って計算する子もいる。

学校では、多動やコミュニケーション上の問題がないという理由で、支援級を考えてくれる気配が全くない。このように、子ども達みんなが、適正な場所で、勉強できない状況が、教育現場では当たり前になっていると思われる。

この状況を改善するには、第1に、入学前のアセスメントをしっかり行うことである。

主治医や園・療育施設からもその子に合った進路をしっかりすすめていただきたい。

ある地域ではTASPという、保育士が簡単につけられる質問票で普通学級か支援学級かの判断材料としている。第2に入学後も定期的にこども達の行動面とアセスメントをしっかり行うことである。定期的に行動や学習についてアセスメントし、学校生活に困難を抱える子に対して、早めに介入していくことがのぞまれる。第3にマンパワーの確保である。支援教育専門の教員を急に増やすのは難しいだろう。教員でなくても療育経験のある人を、療育機関から助っ人として学校に派遣してもるのはどうであろうか。

開業医として、どのように行政・教育と連携していくかを常に模索していまう。今は

情報提供とお願いしたい配慮を手紙にするぐらいしかできていないが、定期的なカンファレンスの開催を実現したいなと思っています。