応用行動分析 【実践編】 タバコの吸い殻出しっぱなしのお父さんの行動を変えよう

外来で8-10か月健診をしていると、お母様より、「ご主人がタバコをきちんと捨てない。赤ちゃんが誤飲する危険を話してもわかってくれない」という相談を時々受けます。状況を確認すると、お母様はご主人に注意し、ご主人はそれに対して反発しています。お母様の立場からすると、ご主人が一方的に悪いと思うかもしれません、しかし、ご主人の立場からすると、頑張って働いたてきたのに、帰った途端に注意されて、嫌になっちゃうかもしれません。それで、タバコを赤ちゃんが誤飲する危険をわかっていながらも、つい、心とはうらはらに反発してしまうのだと思います。また、赤ちゃんにお母さんを取られたと思い、嫉妬しているのかもしれません 。

 

そこは、冷静になり、応用行動分析学の手法を使ってみましょう。え?なんで?と思うかもしれませんが、ご主人のほめポイントを見つけて、とにかくほめまくります。仕事から帰ってきたら、「いつも頑張って働いてくれてありがとう」、家事を少し手伝ってくれたら「助かったわ」などなど。ほめた後に、プチほうびをつけるとより効果的です。例えば、発泡酒でなくビールにするなど。問題のタバコですが、お父さんも吸殻をきちんと片づけている時もあるはずなので、うまくできている時を逃さずに、ほめます。(片づけていなかったときは、怒りを抑えて、無言で片づけます)。これを続けていくことでご主人の行動の変化がみられると思います。

 

なかには、忘れっぽいお父さんもいらっしゃるでしょう。こうした場合は、貼り紙などリマインド機能が有効です。ただ、文面が「吸殻はきちんと捨てる」では効果としては弱いかもしれません。ここでは、「いつも吸殻を気を付けてくれてありがとう」など

の文面にします。よく公共施設のトイレで、「いつもトイレをきれいに利用していただきありがとうございます」という文面を目にすることがあるかと思います。何かの本で読んだのですが、「トイレはきれいに利用すること」という文面と比べて、トイレがきれいに保たれるようです。

 

まずはだまされたと思って、ほめることから始めましょう。

慣れると、あなたもほめ上手に。

頑張っているお母さんは、当院スタッフで大称賛いたします。