食物アレルギー アレルギー症状出現時 想定練習4&5

問題4.重症の鶏卵アレルギーを有する7歳男児。給食でメロンパンを誤食。その30分後に、口周囲が赤くなり、時々咳をしており、軽い腹痛を訴えています、しかし、元気はあり苦しくないといっています

 

(解説) 皮膚症状と消化器症状は「軽症」、呼吸器症状は「中等症」なのでエピペンR注射の適応ではありません (咳嗽は注意すべき症状なので、断続的な咳でも中等症と考えます)。しかし、その後症状が増悪してこないか、注意が必要です。

 

 

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問題5.アレルギー歴のない12歳女児。給食 (うどん)後の昼休みの鬼ごっこ中に、顔の腫れと激しい咳き込みを認めました。救急車を呼びますかそれとも保健室で様子をみますか。

(解説) 小麦を原因とする食物依存性運動誘発アナフィラキシー初回発症例です。ある特定のものを摂取し、運動すると、アナフィラキシーが誘発される特殊な食物アレルギーです (もちろん、その食物を食べるだけ、運動するだけでは症状は出ません)。私が、2012~2013年にかけて、横浜市の小中学生を調べた時はその頻度は、中学生が約5,000人に1人, 小学生が20,000人に1人でした1)2)原因食物としては、小麦、甲殻類が多いですが、最近は野菜・果物も増えてきております。ランニングや球技など負荷のかかる運動中の発症が多いですが、小学生はこの女児のように、昼休みの鬼ごっこ中の発症も多いです。希な疾患ですが、初回発症は予測がつかず、知らないと対応が後手に回ります。

顔の腫れは皮膚症状の「中等症」、激しい咳込みは呼吸器症状の「重症」ですね。救急車を要請しましょう。

 

参考文献

1. Manab.Te et al, Food-dependent exercise-induced anaphylaxis in Japanese elementary school children. Pediatr Int. 2018 ;60 (4):329-333. 

2. Manabe T, Oku N, Aihara Y., Food-dependent exercise-induced anaphylaxis among junior high school students: a 14-year epidemiological comparison.Allergol Int. 2015;64(3):285-6.