新型コロナの検査について

ここ最近、保護者の方が、「子どもがカゼを引いたら会社を休まなくてはいけない。さらに会社よりPCR検査で陰性を確認するように言われた」という方を見かけるようになりました。

 近隣地域の一部の診療所では、抗原検査やPCR検査を導入しているようですが、当院ではいずれの導入も現時点では考えておりません。

 その理由は、1つ目は、まだ発熱の方が新型コロナの患者さんである可能性はかなり低いこと(神奈川県の人口920万人に対して、累積患者数は2,000人ほど。約4,600人に1人です。実際はもっと感染者がいるでしょうが、それでもインフルエンザの流行期にインフルエンザ迅速検査をするのとは意味合いがちがいます。つまり、ほとんどが無駄な検査になってしまいますし、偽陽性のリスクもあります)。2つ目は、コロナを心配するかかりつけでない方の受診が増えることにより、アレルギー疾患, 便秘や発達障害などで当院を、定期受診をしている方への対応に影響が出る可能性があるからです

 さらに、PCR検査も30%は、偽陰性といって、感染しているのに、感染していないですよという結果が出るので、「陰性」であったからといって、大丈夫ですよという証明はできません。

 会社側の気持ちはよくわかりますが、発熱=コロナの可能性がとても低い状況で、さらに30%の見逃しがある検査をもって、コロナではないことを証明してもらいなさいというのは、ナンセンスなのです。

 診察でコロナが疑わしいと思ったらしかるべき対応をさせていただきますので、ご安心ください。

 状況が変わり、抗原検査を導入する際は、アナウンスさせていただきますのでよろしくお願い致します。

 

以下は、すでに知っているよと言われてしまうかもしれませんが、各種検査についてまとめてみました。

 

PCR検査について】

PCR検査とは、ある特殊な液体に検体を入れ、ウイルス遺伝子の特徴的な一部分を切り取り増幅させることで、新型コロナウイルスがいるかどうかが判定できる、という検査です。

鼻から綿棒を入れ、検査します。結果が出るまでに数日を要します

6/2に、発症9日以内であれば鼻腔でのPCRと唾液を用いたPCR検査の結果の一致率が高いことより、唾液を用いたPCR検査も認められました。

(7/17に無症状者に対しても唾液を用いたPCR検査が認められました)


この検査は、万能なのでしょうか?

新型コロナウイルスPCR検査の陽性率(感染している人を調べた場合、陽性つまり感染 (+)と出る確率)は70%と言われております。また、陰性率(感染していない人を調べた場合、陰性つまり感染(-) と出る確率)は99%ほどと言われております。つまり、感染していても30%の人は陰性となり見過ごされてしまい、感染していなくて1%の人は陽性と誤った診断を下されてしまうのです。

 

【抗原検査について】

鼻から綿棒を入れ、ウイルスに特有の物質とくっつく物質が入った液体に入れます。

インフルエンザ迅速検査も抗原検査です。

約30分で、結果が判明します。

 

この検査は正確でしょうか?

PCRと比較して、ウイルスの検出に一定以上のウイルス量が必要です。

 

・無症状者に対する使用はすすめられません。

・発症2日目から9日目の症例はウイルス量が多く、PCR検査と抗原検査の一致率が高い

 ことが複数の機関より報告されました。

6/16より、発症2~9日目の患者に限り、抗原検査で陰性となった場合でも、追加のPCR検査が不要となりました


【抗体検査について】

抗体とはウイルスが体内に入ってきた時にウイルスを体内から除去しようと身体が作り出すタンパク質で、発症後、数日から数ヶ月して抗体が作られます。

国立感染症研究所のまとめによると、新型コロナの抗体検出は、発症2週以降でないと有用性は低いようです。