車に子どもを忘れていないか確認を!

毎年、この時期になると、車中の乳幼児が熱中症で死亡したという悲しい事故が報道されます。こうしたニュースを聞き、保護者の気持ちを想像する度に、胸が痛みます。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4007056.html

 

米国では1990年以降の25年間で少なくとも729人の子どもが車中での熱中症により死亡したと報告されています1)

先日のつくば市での事故に対して、「子どもを忘れるなんてありうる?」と思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、車内放置され致死的な熱中症を発症した児の50~70%は保護者が意図せずに放置しており、Forgotten Baby syndromeと呼ばれています2)

 

仕事など別の事を考えていると、当たり前のことが抜けてしまうことがあります。息子が2歳の時のことです。外出中に突然息子がうずくまったと思ったら、ズボンがみるみる濡れていきました。「え、オムツはかせたのになぜ?」と思ってあわてて確認したらまさかのノーパンでした。その後、ジュースを買うまで息子は不機嫌で口を聞いてくれませんでした。

 

もう1つ車中での子どもの事故の報告を

日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。

最新の学会誌からの報告です。

乗用車3列目シートにおける心肺停止事故について3)

6歳女児で、車内を自由に動ける状態で、母が20分ほど離れました。母が戻ると、図のような状態で児は心肺停止となっておりました。本児を救出するときに強い力は必要なく、どうしてこのような事態になったかは不明とのことです。

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(参考文献3より引用)


Forgotten Baby syndromeなど車中での事故を防ぐには、小児科医が日頃から保護者にこどもだけを車中に残すことのリスクを伝えていくことも大事ですが、車のシステムを変えていく必要があると思います。

実際に米国日産では、ドライバーが子どもを車中に残して離れた場合、アラームが鳴るシステムを開発中のようです。

 

参考文献

1.Centers for Disease Control and Prevention.Injuries and Deaths Among Children Left Unattended in or Around Motor vehicles--United States, July 2000-June 2001. MMWR 2002.51:570-572.

2.Costa D, Grundstein A.An Analysis of Children Left Unattended in Parked Motor Vehicles in Brazil Int J Environ Res Public Health. 2016 .13:649.

3.日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会. Injury Alert (傷害速報) No.89 乗用車3列目シート(座席)における心肺停止 日児誌2020: 124:887-88