この1ヶ月でクルミを摂取後にアレルギー症状が誘発され来院したお子様が2名おりました。近年、木の実類アレルギーの増加が顕著になっています。
アレルギー表示法 (最後に解説します)の妥当性を検証するために、2002年より3年毎に
即時型食物アレルギー (調査上の定義は、何らかの⾷物を摂取後60分以内に症状が出現し、かつ医療機関を受診したもの) の調査が実施されています (当院でも協力させていただいております)。
2014年に実施された調査では、下図のような結果でした。
その後、2017年の調査結果では、
この3年間で、木の実類が8位:2.3%であったのが、4位:8.2%まで上昇しております。
食品別では、クルミが4位、カシューナッツが9位にランクインしています。
でした。木の実類の内訳は、クルミが63%で最も多く、カシューナッツ20.6%, アーモンド5.3%でした。
原因として、国内でのクルミの消費量やカシューナッツの輸入量がこの10年でいずれも倍増していることが関係していると推測されています。
📖加工品のアレルギー表示について
•容器包装された加工食品及び添加物が表示の対象となります。表示義務対象となる
「特定原材料」7品目と、それに準じた表示が推奨される21品目があります。
・前述の調査結果を受けて、消費者庁では2019年9月にアーモンドを推奨表示に追加し、2021年2月よりクルミの義務表示化に向けての動きも始まっています。
参考文献
1.食物アレルギー診療の手引き2020
https://www.foodallergy.jp/wp-content/themes/foodallergy/pdf/manual2020.pdf
2.食物アレルギー栄養指導の手引き2017
食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017 (foodallergy.jp)
3.海老澤元宏, 食物アレルギーの診療の課題と今後の方向性 第69回日本アレルギー学会学術大会 (JSA-WAO 2020) 大会長 会長講演, アレルギー; 179-185.2021